神経発達症(発達障害)とは
近年、自閉症スペクトラム(ASD)、注意欠陥多動障害(ADHD)などの言葉を多く耳にするようになりました。いずれも生まれつきの特性と考えられており、対人関係の難しさ、集中力の維持の困難、気分、意欲のムラ、睡眠障害、感覚過敏など、様々な、そして程度も人それぞれの症状を呈します。特性が軽めですと、大人になるまであまり気付かず、社会に出たり、留学に行くなど、大きな環境変化の際に不適応を起こし、うつ症状などを発症してから気付くことがあります。何となく小さい頃から生きづらかったという方もいらっしゃいます。
特性が1番の問題なのではなく、特性により周囲と摩擦が生じたり、環境に混乱してしまい、二次的にうつ病になったり、一過性の精神症状が出現したりして、社会生活に支障が出る時に治療対象となることが多いです。また、躁うつ病のような意欲のアップダウンが目立つ方も多い印象です。
神経発達症の診断
診断としては、小さな頃からのエピソードを問診しながら(出来れば両親も受診同席や、学生時代の成績表など、客観的な資料があると診断に役立ちます)、心理検査も併用して総合的に判断します。
治療について
治療としては、何よりも、自己理解と特性にあった環境の調整をすること、そして、必要に応じて、過敏性に対しては少量の向精神薬や漢方、衝動性、多動、集中力欠如に対してアトモキセチン、コンサータなどのADHD治療薬、うつ症状があれば抗うつ薬や気分安定薬を使うこともあります。
薬に過敏で、薬物治療が主体とならないケースも多く、生活で起きた困り事などを、カウンセリングで整理することが有用な方もいらっしゃいます。カウンセラー以外にも、特性を理解した味方がいるとかなり気持ちが安定することが多いです。
当クリニックでは神経発達症の心理検査、カウンセリングを行っております。(現時点では、検査のみ、カウンセリングのみのご利用はお断りしており、当院通院中の方の治療の中で行います。)また、コンサータ処方の登録医療機関です。コンサータは依存性や乱用のリスク、副作用から適応となる方が限られており、診察にて適応をしっかり判断した上で処方可能となりますので、ご希望の方は一度ご相談ください。